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スリランカ最大都市コロンボで2024年8月28日、支持する候補者の選挙集会に参加する男性ら=AP
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 2年前に財政が破綻(はたん)し、他国からの借金が返せなくなる債務不履行(デフォルト)に陥ったスリランカで、9月21日に大統領選挙が実施されます。40人近い候補者が出馬し、混戦が予想されています。

 スリランカの政治や社会を研究し、日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所で地域研究センター南アジア研究グループ長を務める荒井悦代さんに、選挙戦の情勢や今後の展望、日本との関係などについて聞きました。

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 ――スリランカは経済危機が深刻になった2022年7月、当時のラジャパクサ大統領が辞任に追い込まれました。

 この国は輸出産業があまり育っておらず、以前の政権も外貨を獲得するための措置を怠ってきました。新型コロナウイルスの流行で観光業などが低迷すると、外貨準備高が輸入額の1カ月分しかなくなり、他国からの輸入に頼ってきた燃料を買うことができなくなりました。

 国内各地で停電が頻発し、ガソリンスタンドでは3日間も給油のために待つ人がいたほどです。国民の抗議デモが拡大し、政権も倒れました。

 ――大統領の辞任後、閣僚経験の豊富なウィクラマシンハ氏が大統領の任期を引き継ぎました。この2年間の状況をどう見ていますか?

 ウィクラマシンハ氏は、前政権で大臣を務めてきた政治家も閣僚に登用し、政権運営にあたってきました。議会にはラジャパクサ一族が率いるスリランカ人民戦線(SLPP)が最大会派として残っており、政治や社会の安定を重視したと言えるでしょう。

 他国からの借金返済については、日本やインドなどと協力しながら、返済猶予で合意しました。国際通貨基金(IMF)などからの支援も取り付け、燃料不足や停電も減りました。外貨準備高も3~4カ月分まで増えるなど、一定の評価はできるでしょう。

電気代は3倍に

 ――ただ、インフレは深刻で国民の不満も聞こえてきます。

 政権は、財政を健全化しIM…

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